case study

【EdTech導入事例vol.8】
徳島県立脇町高等学校様 導入事例

徳島県立脇町高等学校は、徳島県美馬市脇町大字脇町に位置する学校で、文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール (SSH)にも指定されています。今回、高校1・2年生の授業、部活動でeaselを導入いただきました。授業や取り組みの様子について、教務・情報課の大久保先生にお話をお聞きしました。

プログラミングにアートの要素がかけ合わさった他にはない教材

2022年度の美術・情報の教科横断型授業と探究部の活動でeaselを導入しました。

きっかけは前年度easelを導入した他校の先生からご紹介いただいたことです。本校はSSHですので、課題研究等で分析や統計などのプログラミングに取り組んだことはありましたが、学年全体でプログラミングに取り組むのは今回が初めてでした。

easel APはプログラミングにアートの要素がかけ合わさっていて、プログラムで形を描いたり、色を塗ったり動きも表現できます。アプリのダウンロードも必要なく、ブラウザ上のエディターで直接値を変えると、その場で変化を見ることができます。これなら多くの生徒が取り組めそうだと考えました。また、プログラミング教材の中にはゲーム的な要素が強いものも多いですが、easelは科目としても具体的に“美術”と結びついたため取り入れやすかったです。

大切にしたのは、まず面白そうだと思わせること

easel APは美術・情報の教科横断授業で導入しました。授業は2学期に4回行いました。

大切にしたのは、生徒たちにまずは、面白そうだと思わせることです。

そのため、最初からプログラミングとは何か説明するのではなく、プログラムに触れてその変化を楽しんでもらうことからスタートしました。easel APは基礎から順番に学んでいく『まなぶ』編と、たくさんの作品から好きなものを選択して、それを触っていく中で学んでいく『まねぶ』編で構成されています。

最初の授業では『まねぶ』編の中のカラフルなボールがたくさん動いている作品を選びました。そのボールの数を変えてみたり、色や大きさ、スピードを変えてみたり。少し変化を加えるだけで、10人いれば10通りの作品ができます。この最初のアプローチが功を奏して、2回目以降の授業も生徒たちが興味を持って取り組んでくれました。

2回目以降はテーマを『自分の気持ち』として、美術の教員から色やカラーコードについて説明しました。その後、それぞれ作品を作って、互いに見せ合うということを行いました。

3学期は『easel Award』(※1)への参加も見据えて、引き続き作品づくりに取り組んでいきたいと思います。

※1:easel Awardは、easel APを導入した学校向けに開催しているコンテスト。デジタルアートのプラットフォームで、学校の枠を超えて生徒同士作品を発表し合うことができる。2021年度は応募作品の中から監修者がいくつか作品を選んで、山梨県清春芸術村にて作品の展示が行われた。

教員同士が授業を見学し合うオープンな環境

本校は教員同士で授業を見学できます。実際、今回のeasel APの授業では数学や物理の教員が見学に訪れて、生徒と一緒にプログラミングに取り組んだり、自分たちの授業だったらこんなふうに取り入れられるのではと盛り上がっていました。

美術の教員は今回プログラミングに初めて取り組んだのですが、本校全体がこのようにオープンで、面白そうなことは何でもやってみようという雰囲気がありますので、特に不安はなかったようです。もちろん、私も美術の教員と一緒に授業の構成を考えたり、最初の授業では生徒たちに説明したりしました。

一つ生徒たちに気をつけてもらったのは、値を変えたりプログラムを作成したらこまめに保存することです。何をしたらその結果になったのか、履歴を残して置くことで、辿っていくことができます。

こういった中で、ログイン方法などの基本的なことから、R,G,Bの3つを指定すべきところが2つしか指定されていない等々、生徒同士が互いに教え合う場面も見られました。

生徒のリアクションとしては、最初は不安そうでしたが、実際に触ってみると意外とできる!と感じたようです。テーマも抽象的なものでしたので、互いに見せ合ったりしながら、それぞれ自由に創作に取り組んでいました。

互いに教え合う新しい学びのあり方

探究部では週1回easel MLに取り組みました。最初に学外の情報系の教授の方をお招きして、中身がわからなくてもいいので、まずはAIをどう使うかということから考えました。その上で、AIで何かを作ろうということをゴールに、これまで取り組んできました。

easel MLについては上から順番に読み進めていっており、並行してpythonも教えています。夏からスタートして11月ぐらいまでに最後のテニスゲームの作成まで行きました。

最終的には、AIを使った運動解析に取り組むなど、コンテストに出展したいと考えています。

SSH自体、大学や学会主催のイベント、全国大会に参加するなど、学外に出る機会が多いのですが、今回の課題研究でも、テーマを地域性のある外に開かれたものにしたいと考えています。

探究部ではチームになって取り組んでおり、問題が起きたときなど、自分で調べるのももちろんですが、わかる生徒が教えたり、チーム内で解決しながら、チームワークも学んでいるようです。

生まれた時からデジタルデバイスが身近にある子供たちにとって、5教科では見られなかったような“教え合い”がプログラミングを使った授業では生まれています。easel AP、easel MLをはじめとした教材を通じて、そんな新しい学びのあり方がこれからどんどん生まれていくのではないでしょうか。

(2022年12月取材時)