case study
【EdTech導入事例vol.1】
北見市立上仁頃小学校×北海道教育大学附属 釧路義務教育学校後期課程コラボ授業
この度、INERTIAでは経済産業省のEdTech導入補助事業を通じて、全国41校の学校様に『easel』を導入いただきました。その様子をシリーズでご紹介していきます。第1弾は北海道の北見市立上仁頃小学校と北海道教育大学附属釧路義務教育学校後期課程のコラボ授業についてお届けします。北見市立上仁頃小学校の野尻先生と北海道教育大学附属釧路義務教育学校後期課の更科先生に、INERTIAのスタッフがお話を伺いました。
オンライン授業で行う異種校間での交流
(野尻)今年度よりGIGAスクール構想がスタートして、学校の授業全体が一気にオンライン化しています。日頃から市内の小規模校と、外国語の授業をオンラインで行っていますが、中学生と一緒にオンライン授業をするというのは今回が初めてのことでした。小学生と中3が同じ課題で授業できるのか不安もありましたが、教員も子どもたちもeaselについてはスタート段階。一見複雑そうに見えるツールも、同じ北海道内のお兄さんお姉さんが使っている姿を見ることで、親近感をもってくれたらという願いがあり、お声がけさせていただきました。
(更科)学校としては今年でeasel2年目になりますが、INERTIAの方から、今年は同じ北海道の学校が実践するとのことを聞いて、その時から仲間としか思っていませんでした。実際に野尻先生より声をかけていただき、それならば応えたいと思いコラボが実現しました。
追求心をくすぐるプログラムのプレゼント
(更科)コラボ授業に参加した9年生*は、初めてeaselに取り組む学年だったので、上仁頃小学校の子どもたちときっと同じ土台に立っていると思いました。事前に、分からないながらも自力で学んでいると聞いていたので、課題を提示してそれに向かってやってみるという方法がヒットするのではないかと思い、課題兼子どもたちへのメッセージを含んだサンプルプログラムのプレゼントを導入部分で贈りました。
(野尻)更科先生が作ってくれたプログラムを再生すると、「動いてる〜!文字が出てきた!!」と子どもたちのテンションは上がり、意識が集中しました。その気持ちは途切れることなく、そこからパラメータの数値を少し変えてみる課題で、プログラムの改変をするワークを行いました。子どもたちにとって、ここでの課題=お宝で、かなり脳がアクティブになっていましたね。中学校の方が早く課題を解決する生徒が現われ、悔しがりながらも小学生なりに負けない気持ちで取り組んでいる姿が微笑ましかったです。
*北海道教育大学附属釧路義務教育学校後期課程では、小学生〜中学生に対して1年生から順に数えるため、9年生は中学3年生にあたる。
画面の反対側で互いに作用する学びの世界
(更科)小学生たちが「これって〜だよね。」「いや〜じゃない?」と言っている声が聞こえてきて、中学生はその「できたできた!」という声に闘争心を燃やしていました。どうやったらできるのか頭を抱えていた状況から解決策を見出し、中学生からホワイトボードを使って、「ここをこういう風に変えてみるといいよ!」と解説して教えるような場面が生まれました。
(野尻)後半は、共通のテーマを課題に、イメージをふくらませるプログラム作成を行いました。「元気」はどの子もイメージできますが、それぞれ想い描くものは異なることが想定されたので、児童生徒は互いの表現に関心を寄せると期待がふくらみました。完成した作品は画面録画しオンライン上に共有することで、離れた学校であっても容易に交流が可能となりました。制作が早く終わった児童は、中学生の作品を鑑賞してコメントしたり、コーディングがどのように行われているのかを考え発展させたりと、とても充実した時間になりました。児童は私にほとんどアドバイスを求めず、自分で調べたり、友達と教え合ったりしながら、当初は難しいと感じていたツールでしたが、失敗を恐れず主体的に学習できたことは、想像以上の結果になりました。
アウトプットの場が人の心を動かす
(野尻)本校は今年度いっぱいで閉校します。今回easelは、閉校式典の児童発表の場をイメージして取り組みました。会場には、地域の方々をはじめ教育関係者や保護者の方々はもちろん、テレビや新聞の取材も入っていました。地域の民生委員の方や、協賛会の方の中には、発表を見て涙を流している方もいたそうです。もちろんインターネット上に転がっている素材を使って発表することもできましたし、その方が時間がかからなかったかもしれません。しかし私は、児童が自分たちで作ることにこだわりました。誰かが準備したものを言われるがままに発表し、何となく終わるのではなく、閉校という97年の歴史に自分達が向き合い締めくくることで、次の舞台へ胸をはって羽ばたいてゆけると考えました。
(更科)式典の映像をコラボ授業したクラスに見せたのですが、みんなとても喜んでいました。作品には音がついていて、また演出の中でリアルに和太鼓を叩いていたんですよね。本校ではデジタルで音をつけようとしていたので、「太鼓の音も合うんだね。」なんて言って、デジタルとリアルの音の違いを感じ取っていたようです。また、小学校の子どもたちが最後まで完成させていたのを見て、「自分たちも頑張らなきゃ!」と後押しされている子もいました。そのような形でフィードバックできたのも良かったと思います。
easelを使うにあたって
(更科)専門的にコーディングをやっていきたい学校には物足りなさがあるかもしれませんが、easelでは感性や創造性に重きを置いていて、子どもたちの中でも感覚的にやっていきたい子も多いので今くらいが丁度いいのかなと感じています。
(野尻)コーディングを使ったプログラミングは、小学生にとってはちょっと難しいのではないかと不安に思うこともあります。しかし児童がどうしても成し遂げたいゴールを明確にすることで、その不安は挑戦に姿を変えました。コーディングというところにハードルは感じませんでしたね。easelのいいところは、最初にお手本があってそれを少しアレンジしたらイメージが変えられるというところ。色や速度を変える比較的簡単なアレンジから、より自分のイメージに近付けようと更に発展させる創造。児童それぞれの技術と発想で、各々のゴールを目指していきます。ゴールは同じですがカタチは異なるので、たとえ技術に差がある児童生徒であっても、ともに学び共有することができます。苦手と感じる子もいますが、友達の作品を見たり、教えてもらったりと交流も頻繁でした。自分の入力した数値で、形や色がほんの少し変わるだけでも、その瞬間は児童の中にとてつもない感動をうみました。改めて素敵な機会をいただけたこと、更科先生をはじめeaselの皆様に心から感謝しています。ありがとうございました。
- 【学校】
- 北見市立上仁頃小学校(公立)、北海道教育大学附属釧路義務教育学校後期課程(国立)
- 【対象】
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- ・北見市立上仁頃小学校
- 生徒:5・6年生(5名)、教員:野尻先生・理科専科・見学のみで管理職(3名)
- ・北海道教育大学附属釧路義務教育学校後期課程
- 生徒:9年生1クラス(32名)、教員:更科先生・撮影係(2名)
- 【時間】
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- ・北見市立上仁頃小学校
- 総合的な学習の時間 休憩+45分
- ・北海道教育大学附属釧路義務教育学校後期課程
- 美術科 50分
- 使用ツール
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- ・学校同士のオンライン接続:zoom
- ・使用デバイス(easel AP、その他連絡ツール起動用):iPad/Chromebook
- ・使用教材(作品制作):easel AP
- ・作品共有用掲示板:padlet
- 授業の流れ
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- 1. 挨拶/課題の提示(5分)
- ・更科先生より上仁頃小学校の生徒へのメッセージを含んだプログラムのプレゼント
- ・課題のプログラムを鑑賞
- 2. ワークその①(25分)
- ・「形や色を変えられるかな?」課題提示とプログラムの改変に挑戦
- ・合間で解決策を見出した中学生からホワイトボードを使ってプログラムの解説
- 3. ワークその②(20分)
- ・テーマ「元気」を表すプログラミングをしてみよう/交流
- ・出来上がったプログラムをpadletにて全体共有。作品についてコメントをし合う。